~構造設計者こーじの構造解説blog~

一級建築士の構造解説・過去問解説を行っています。某組織設計事務所9年→構造設計事務所。10年目。

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1-3 断面の応力と変形 1-3-3 せん断応力と変形

前回は、軸方向応力と変形や応力度-ひずみ関係について解説していきました。

(⇒軸方向応力と変形や応力度-ひずみ関係の解説「1-3 断面の応力と変形 1-3-2 軸方向応力と変形 ~弾性と塑性~」はこちら!!)

今回はせん断応力について解説していきます。

 

 
 せん断力とは…
 

せん断力とは、部材の断面に対して平行の方向に作用する力のことをいいます。この力は、下図のような「せん断応力度τ」を足し合わせた合力です。

f:id:structural-designer-koji:20200802172146p:plain

また、せん断応力度τは、軸方向応力度と同様に「単位面積当たりのせん断応力」です。せん断力Q、断面積Aとすると、

 {\displaystyleτ=\frac{Q}{A}}

と表すことができます。

 

 
 せん断変形とせん断ひずみ度
 

部材の微少要素をサイコロ形状のように取り出すと、下図(a)のようなせん断応力度τが作用しています。また、せん断応力度τが作用した時の変形は、(b)の点線のようになります。その時の高さhと横方向変形Δhの比を「せん断ひずみ度γ」といいます。

 {\displaystyleγ=\frac{Δh}{h}}

f:id:structural-designer-koji:20200802172212p:plain

前回の軸方向応力の軸方向応力度σ-ひずみε関係において、σ=E×εがあることは学習しました。(Eはヤング係数ですよ!)

今回の、せん断応力度τとせん断ひずみ度γについても同様に

 {\displaystyleτ=G×γ}

と表すことができます。ここでGを「せん断弾性係数」と呼びます。せん断応力による部材の硬さを表しています。

この、せん断弾性係数Gは、ヤング係数Eとボアソン比νとの関係があり、

 {G=\displaystyle\frac{E}{2(1+ν)}}

で表されます。