2016年の熊本地震の際に話題となった「地震地域係数 Z」ですが、一般の人にはなかなか聞きなれない言葉だと思います。
この「地震地域係数:Z」とは、過去の地震記録などをもとに各地域に予想される地震の大きさの比を数値化したものです。(国で定めた数値となります。)
すなわち、過去の地震記録に基づいて、日本国内において大きな地震が発生しやすい確率に基づいて数値を定めています。「地震が発生しやすい地域」では、Zの数値が大きく、「地震が発生しにくい地域」ではZの数値が小さく定められています。
上記したように、地震地域係数:Zの数値は地域によって異なります。
下の図が各地域の地震地域係数:Zの数値となっています。
このように、地震地域係数 Zの値は1.0~0.7で指定されています。
この、地震地域係数って何に対して影響があるかというと、
想定する地震の大きさを決める際に関係してきます。
Q=Wi × Ci
Ci=Z × Rt × Ai × Co
となります。
先ほどの図をもう一度見ると、
「東京」や「大阪」は地震地域係数が「1.0」となっています。
一方、昨年地震が起きた「熊本」では、「0.9又は0.8」となっています。
すなわち、「東京」や「大阪」と「熊本」で想定する地震力の大きさが、
異なっているのです。どのくらい違うかというと…
1.0/0.8=1.25倍
も変わってくるのです。
ということは、「熊本」で0.8の地域だと、法律上想定している地震力よりも
大きい地震が来ると建物が倒壊してしまう恐れが出てくるのです。
法律で「大地震に対して建物が倒壊しないこと」が求められているのに、なんだか矛盾しているんですけどね…
ちなみに、沖縄県が0.7となっているのは、
アメリカ占領下の時に建てられた建物はアメリカの法律によって設計されているため、
想定している地震力の大きさが日本よりも小さかったので、
そのまま日本の法律を適用すると不適格建築物となるため、
0.7に数値を下げたとの経緯があります。
そのため、「東京」などZ=1.0の地域と比べてみると、
0.7/1.0=1.43倍
も変わってきます。えらい違いです…
大きい数値を定めています。
これは、近い将来、東海地震が来ることを想定しているため、
想定する地震力の大きさを大きく設定しています。
この、地震地域係数:Zですが、簡単に言うと、
地震が多い地域→1.0
地震が少ない地域→0.7~0.9
というような考えによって決めた数値です。
南海トラフ地震や東日本大震災のあった太平洋側では地震が多く、日本海側や西日本では地震が少ないため、そういった分布となっています。
ただ、ここからは個人的な意見ですが、
地震って起きるか起きないかの2つなので、
発生確率が高い低いで数値を変えるのはどうかと思ってます。
が、当分この数値は変わらないと思いますが…