~構造設計者こーじの構造解説blog~

一級建築士の構造解説・過去問解説を行っています。某組織設計事務所9年→構造設計事務所。10年目。

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平成29年度設計製図試験 斜面地に対する構造計画について

ここでは、平成29年度の設計製図試験における

構造関係について書かせていただきます。

 

平成29年度の設計製図試験は「小規模なリゾートホテル」ですが、

その中で、「斜面地を考慮した計画」とあります。

 

ということは、構造に関しても斜面地を考慮した計画が必要となってきます。

ざっと、挙げてみると…

 

①構造種別

②架構形式

③平面形状

④基礎形式

 

などが考えられます。

いかに順番に詳しく述べていきます。

 

①構造種別

いつもの場合だと、「建物用途を考慮して、耐震性、耐火性、遮音性の優れた…」

って書くと思いますが、

せっかく斜面地に計画するので、その内容も書く必要があります。

 

斜面地ということは、

例えば地下1階部分は、地盤面より低いレベルで計画されます。

ということは、土圧が建物に作用してきます。

 

その土圧には面で抵抗しないといけないので、

地下外壁が必要です。

この地下外壁はRC造で作られる為、

地下部分は必然的にRC造で計画することになります。

 

地上部分の構造形式は、S造でもできないことはありませんが、

一つの建物で異種構造となると、様々な法的規制があることから、

地上部分もRC造で計画するのが良いと思います。

 

②架構形式

架構形式に関しては、①で述べた

地下外壁を支えるために外壁の四周に柱・梁のフレームが必要になってきます。

そのため、ラーメン架構とするのが一番安定した架構形式となります。

 

もちろん、壁式RC造でもできますが、平面計画の自由度が低いことから、

あまりお勧めはしません。

 

③平面形状

平面形状に関しては、

地下部分があってもなくても同じですが、

建物は整形な平面形状で、極力均等なスパンで計画するのが、

構造計画上でも一番大事なことです。

そうすることによって、各フレームに均等に応力が作用する

(ねじれが小さいという事)ので、

耐震性の高い架構計画となります。

 

地下部分に関しても、凸凹はあまりない方が良いです。

あっても、グリッドに合わせて計画するのが良いです。

 

④基礎形式

地盤について、特に課題文で特別な記載がない

(良好な地盤)である場合は、べた基礎で良いと思います。

ただし、昨年(H28年度)で地盤条件を考慮した基礎形式とあったため、

場合によってはべた基礎以外の形式も必要になると考えられます。

(例えば、平屋部分は独立基礎とするとかの方法あり。)

 

※余談ですが、

実際に斜面地が敷地の場合、高確率で支持地盤は傾斜しています。

また、支持地盤がある程度深い場合(10m以深)、杭基礎とし、

傾斜に合わせて杭長を調整して建物を支持する場合が多いです。