鉄骨の構造用鋼材の代表的な材料規格として、SS材とSM材とSN材があります。試験勉強をしていると、
があると思います。
ここでは、改めて各材料規格の違いについて解説して理解できるようにしていきます。
SS材(JIS G 3101:一般構造用圧延鋼材)
鉄鋼材料の中でも最も一般的な材料であり、建築だけでなく橋梁や機械設備等、多くの用途で使われています。
SM材(JIS G 3106:溶接構造用圧延鋼材)
軟鋼にマンガンやシリコンなどを添加して溶接性を向上させた鋼材です。元々は船舶に用いるための溶接用鋼材として開発されました。建築においても溶接の多い大規模ビルを中心に使われてきました。
SN材(JIS G 3136:建築構造用圧延鋼材)
1995年の阪神淡路大震災を契機に用いられるようになったSN材ですが、特徴としては、建築物の構造材料としての使用を想定し、耐震性や溶接性についての指標が組み込まれています。具体的には、塑性変形能力、炭素当量、溶接割れ感受性、耐衝撃性などとなります。
具体的にどこの部材にどの材料を使用するのが適しているかというと、
構造計算の考え方にもよるのですが、個人的には、概ね下記の通りと
なるのかなと思います。
柱、大梁などの主要構造部については、柱と梁の仕口部などで溶接を多く使用したり、大地震時に対しても建物が倒壊しないよう十分な塑性変形能力が確保されるようにするために、SN材を使用します。
というのも、ある程度の規模以上の建物では、ルート3による計算(保有水平耐力計算:大地震時に対する検討)を行います。現在の設計法の考え方としては、大地震時には建物が崩壊せずに内部空間を確保していれば良いという考え方なので、柱や梁の部材の損傷(降伏ヒンジ)を許容する代わりに、粘り強い(靱性の高い)建物となるように設計を行っています。そのため、塑性変形能力を確保するために細かい規定がされています。
※SN材の細かい規定についてはまたのちほど・・・(笑)
ちなみに柱については、実情はBCR材やBCP材を使うことが多いです。
(そもそも角形鋼管や鋼管(円形鋼管)でそれぞれ材料の名前が違うのがめんどくさいというか・・・働いてすぐの時は区別が付かなかった・・・(笑))
また、小梁や胴縁、母屋などの二次部材や小規模の建物(構造計算ルート1の建物)では許容応力度設計のみの検討となるので、SS材を使用します。
ここで、小規模の建物についてもSS材を利用する理由としては、ルート1計算(鉄骨造ではルート1-1と1-2の2種類)では、許容応力度設計のみを行い、大地震時の検討は行いません。ということは、柱や梁の降伏後のことを考慮した設計とはしていないので、それであればSS材を使ってもいいんじゃないのってなります。なので、柱や梁の主要構造部もSS材とする場合があります。
ただし、上記の考え方は設計者によって異なります。
後は、建物規模や建物用途によっても違うのでその時々でどの材料を使用するのかは変わる場合もあります。