~とある若手構造設計者の徒然blog~

とある組織設計事務所に勤めています。7年目。日々勉強、日々精進ですが、これまで色々感じたこと学んだことなどを書いていきます。

一級建築士試験 構造Ⅳ【令和元年度(2019年度)No.19~No.21】【地盤・基礎】

続いては、地盤・基礎についてです。

これらは、普段なかなか直接見ることもできないので、私自身もイメージしにくいです。が、なんとか解説してみました^^

 

〔No.19〕土質及び地盤に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 .液状化の判定を行う必要がある土層は、一般に、地表面から20 m程度以浅の沖積層の飽和砂質土層である。

2 .地下水には自由水、被圧水及び宙水があり、地下工事中に発生することがある根切り底面の盤ぶくれは、被圧水が原因である。

3 .一軸圧縮試験は、粘性土の強度や変形係数を調べる簡便な方法で、実用性も高い。

4 .砂質土地盤の支持力式に用いる内部摩擦角z は、砂質土が密実になるほど小さくなる。

 

1 .液状化の判定を行う必要がある土層は、一般に、地表面から20 m程度以浅の沖積層の飽和砂質土層である。

<解説>

答は○

液状化判定を行う必要がある土層は、下記の通りとなります

  • 地表面から20 m以浅
  • 地下水がある(飽和土層):水が無いと液状化って起きないよ
  • 沖積層:比較的新しい地層のこと⇒新しいので締め固められておらず緩い状態
  • 砂質土層(細粒分含有率が35%以下に限る):砂の粒が大きい方が水を通しやすいから液状化もしやすい。
    • 細粒分含有率:小さい砂の粒(細粒分)(=粘土と考えてもらっていいです)の割合のこと。細粒分含有率が大きいということは、小さい粒の割合(=粘土の割合)が大きいということです。すなわち、液状化しにくいので、35%を超える場合は、液状化の判定をしなくてよいということです。

 

2 .地下水には自由水、被圧水及び宙水があり、地下工事中に発生することがある根切り底面の盤ぶくれは、被圧水が原因である。

<解説>

答は○

これは、構造と施工のミックスされた問題です。

まず、自由水、被圧水、宙水について超ざっくりな説明を…

自由水:表層(浅い層)から最初にある不透水層(水を通さない土層:粘土層)より上にある地下水のこと。自由水の上面の圧力=大気圧(静水圧)となっている状態。

被圧水:不透水層と不透水層に挟まれた地層にある地下水のこと。上部にある土や水による圧力(加圧)などにより、大きい圧力がかかっている状態。

宙水(ちゅうすい):比較的表層(砂層:水を通しやすい)の中に局部的に不透水層(粘土層)があることで局部的に溜まっている地下水。

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一方、

盤ぶくれ:土工事において、掘削底が不透水層で、その下部に被圧水を含む透水層がある場合、上部の不透水層の重量が被圧水による圧力より小さいため、掘削底面が押し上げられる現象です。

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3 .一軸圧縮試験は、粘性土の強度や変形係数を調べる簡便な方法で、実用性も高い。

<解説>

答は○

一軸圧縮試験とは、ボーリング調査で採取した土の供試体を圧縮試験により強度を確認する試験のことです。この圧縮強度から、地質(粘性土、砂質土)の強度や変形係数(水平地盤反力係数等)を算出することができ、一般的に広く行われています。

 

4 .砂質土地盤の支持力式に用いる内部摩擦角z は、砂質土が密実になるほど小さくなる。

<解説>

答は×

ここでは、「内部摩擦角z」がどういったものなのか、砂質土が密実になると支持力UP or DOWNなのかがイメージできると解ける問題です。

「内部摩擦角z」とは、簡単に言うと「砂時計が上から下に落ちるときに、下でできる山の角度のこと」です。

 

すなわち、角度が大きいほど崩れにくいので支持力(地盤が支持できる力)も大きくなります。

一方、砂質土が密実になるということは、隙間が無い状態ということです。すなわち、支持力(地盤が支持できる力)も大きくなります。

 

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なので、

砂質土の内部摩擦角が大きくなる=砂質土が密実である=地盤の支持力大

となります。

 


 

〔No.20〕図のような杭基礎の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 .上部地盤が砂質土で地震時に液状化するおそれがある場合、各杭の水平抵抗力が低下しないよう地盤改良等の対策を行う。

2 .上部地盤が粘性土で将来にわたって地盤沈下するおそれがある場合、各杭が地盤から突出する影響を考慮して杭の水平抵抗の検討を行う。

3 .各杭の径が同じ場合、地震時に各杭が負担する水平力は杭長に応じて異なるものとして、杭の設計を行う。

4 .各杭の長さが異なるので、地震時の杭の水平抵抗の検討のために、支持層の近傍で孔内水平載荷試験を行う。

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1 .上部地盤が砂質土で地震時に液状化するおそれがある場合、各杭の水平抵抗力が低下しないよう地盤改良等の対策を行う。

<解説>

答は○

元々、砂質土地盤では、粒同士が点で接した状態(支えあっている状態)で構成されていますが、地震による振動により砂の粒がバラバラになってしまい水平抵抗力(水平地盤反力係数)が小さくなってしまいます。そのため、地盤改良(主に砂杭を締め固めて地盤を固くする等)により対策を行います。

また、地盤改良等の対策を行わない場合は、水平抵抗力(水平地盤反力係数)を小さく評価して杭の検討を行うこともあります。

 

2 .上部地盤が粘性土で将来にわたって地盤沈下するおそれがある場合、各杭が地盤から突出する影響を考慮して杭の水平抵抗の検討を行う。

<解説>

答は○

これは良く分からなくても、文章を読めば何となくそうなんだろうなと想像はつくと思います。

(少し余談ですが…)突出の影響を考慮して杭の検討を行う場合、次の設問3とも関連はするのですが、地盤が沈下することによって、地盤から下に埋まっている杭の長さが短くなってしまうため、杭の剛性が変わります(大きくなります)。そのため、杭に作用する曲げモーメントも大きくなります。また、杭頭部が地盤から突出してしまうことから、地盤の拘束が無くなり変形が大きくなるといったことも考慮して杭の検討を行います。

 

3 .各杭の径が同じ場合、地震時に各杭が負担する水平力は杭長に応じて異なるものとして、杭の設計を行う。

<解説>

答は○

これも良く分からなくても、文章を読めば何となくそうなんだろうなと想像はつくと思います。

<+α>

では、杭長が変わると水平力はどうなるのか?大きくなる?or小さくなる?

まず、杭長が変わるということは、杭の剛性が変わるということです。(例えば、両端固定の柱の場合では、剛性K=12EI/h3)つまり、杭長が長くなる方が剛性Kは小さくなります。(E:ヤング係数、I:断面二次モーメント、h:部材の長さ)

また、

力P = 剛性K × 変位δ

です。杭の変形を考えるときに(柱もそうですが、)基本的にはとても剛な(硬い、頑丈な)床スラブがあることにより、建物の各杭は一体で変形をすると仮定します。(これを剛床仮定といいます。)そのため、変位δは変わらないとすると、剛性Kが小さい(杭長が長い)と負担する水平力(上の式でいう「力P」)は小さくなります。

逆に、剛性Kが大きくなると負担する水平力Pは大きくなります。これは、力学における一番大事な特徴です!!

「剛性が高い部材が大きい力を負担する」。これは、覚えていると試験の時も助かるときがあります。

4 .各杭の長さが異なるので、地震時の杭の水平抵抗の検討のために、支持層の近傍で孔内水平載荷試験を行う。

<解説>

答は×

内水平載荷試験とは、地盤の水平方向の剛性(硬さ)(=水平地盤反力係数)を調べるための試験です。

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調査する範囲は、杭頭位置から約5mの範囲(杭頭近傍)となります。なので、設問は「支持層の近傍」なので×となります。では、どうして杭頭位置から約5mの範囲(杭頭付近)を調査する必要があるのでしょうか。

下図を見て頂ければ、関係性が分かると思います。まず、孔内水平載荷試験は杭基礎が想定される地盤に対して行う場合が多いです。また、杭の変形は図のように杭頭側が大きくなるような変形をします。すなわち、杭頭側に応力(曲げモーメント)が発生します。杭頭側が変形すると、その周囲の地盤がクッションとなって抵抗するので、地盤の剛性(硬さ)(=水平地盤反力係数)によって、杭がどのくらい変形するのかが決まってきます。

そのため、杭頭近傍で孔内水平載荷試験を行う必要があるのです。

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〔No.21〕直接基礎及び杭基礎の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1 .直接基礎の即時沈下の計算において、粘性土地盤及び砂質土地盤ともにヤング率及びポアソン比を適切に設定した弾性体と仮定してもよい。

2 .杭の引抜き抵抗力の計算において、長期及び短期ともに杭の有効自重(自重から浮力を減じた値)を引抜き抵抗力として考慮することができる。

3 .杭基礎を有する建築物において、杭に作用する水平力は、建築物の地上部分の高さ及び基礎スラブの根入れ深さに応じて、一定の範囲で低減することができる。

4 .杭の水平抵抗の検討に用いる水平方向地盤反力係数K(h kN/m3)は、一様な地盤においては杭径が大きくなるほど大きくなる。

 

1 .直接基礎の即時沈下の計算において、粘性土地盤及び砂質土地盤ともにヤング率及びポアソン比を適切に設定した弾性体と仮定してもよい。

<解説>

答は○

なんのこっちゃって感じだと思いますが、簡単に言うと、「沈下の計算は地盤のヤング率(剛性)とボアソン比を弾性体と仮定して求める。」ということです。設問の通りです。

ここで、

・ボアソン比:力を加えたときに応力方向に沿って発生するひずみと応力に直角方向に発生するひずみの比⇒地盤の場合、建物重量による力が地盤へ作用(↓向き)するので、↑↓向きは圧縮されます。しかし、←→向きでは横へ広がっていこうとします(スライムを指で押しつぶしたときを想像してみてください。)。

・弾性体=弾性の物体(地盤)

 

2 .杭の引抜き抵抗力の計算において、長期及び短期ともに杭の有効自重(自重から浮力を減じた値)を引抜き抵抗力として考慮することができる。

<解説>

答は○

これはその通りです。杭の引抜き力というのは、杭が地盤から引き抜かれる力なので、下から上に作用する力(↑向き)です。

一方、杭の引抜き抵抗力は、上から下に作用する力(↓向き)となります。杭の自重も同じ上から下に作用する力(↓向き)なので、引き抜き抵抗力として考慮してOKです。

 

3 .杭基礎を有する建築物において、杭に作用する水平力は、建築物の地上部分の高さ及び基礎スラブの根入れ深さに応じて、一定の範囲で低減することができる。

<解説>

答は○

図のように、建物に地震力が発生した時に、建物側面の地盤が抵抗することから、杭に作用する水平力を低減することができます。

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4 .杭の水平抵抗の検討に用いる水平方向地盤反力係数Kh(kN/m3)は、一様な地盤においては杭径が大きくなるほど大きくなる。

<解説>

答は×

杭径が異なる杭が同じ大きさの水平力を受ける場合、図のように杭径が大きい方が地盤の影響を受ける範囲(=変形をする範囲)が大きいことが分かります。よって、変形が大きいということは、剛性が小さい(=水平方向地盤反力係数Khが小さい)ので、設問は逆になります。

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