~とある若手構造設計者の徒然blog~

とある組織設計事務所に勤めています。7年目。日々勉強、日々精進ですが、これまで色々感じたこと学んだことなどを書いていきます。

令和2年一級建築士製図試験「高齢者介護施設」について ~構造的観点~

令和2年7月22日に令和2年一級建築士試験「設計製図の試験」の課題発表がありましたね!

 

「高齢者介護施設

 

ざっくりした課題テーマだな~という印象ですが、

どんな用途であっても根本的なことは一緒なので、

製図試験を受ける方々、これから大変ですが頑張ってください!

 

ここでは、製図試験における構造の内容について、色々書いていこうと思います。

今回は、公表された課題に記載されている「建築物の計画に当たっての留意事項」内の構造関係(下記の2つ)について個人的に考察してみます。

 

・建築物全体が、構造耐力上、安全であるとともに、経済性に配慮して計画する。
・構造種別に応じた架構形式及びスパン割りを適切に計画するとともに、適切な断面寸法の部材を計画する。

 

というのも、試験本番の課題文には定型文のように書いてあることが多いですが、わざわざ課題発表の「建築物の計画に当たっての留意事項」で書かれているのがちょっと気になるんですよね…(笑)

 

 

・建築物全体が、構造耐力上、安全であるとともに、経済性に配慮して計画する。

 

まず、前半部分の「建築物全体が構造耐力上安全である」については、簡単に言うとあらゆる荷重、外力に対して、建物が構造上安全であるように計画することです。

建築基準法第20条に「建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のもの」として、建物規模に応じた各基準に適合するものでなければいけません。

地震力だけで無く、積載荷重や積雪や風、土圧などあらゆる荷重、外力に対して安全であるように計画をします。

例えば、H29年の「リゾートホテル」では、敷地内に傾斜があり、地下の有する建物であることから、地下外壁を計画する必要があります。そのため、地下外壁を適切な壁厚で計画し、土圧に対して安全であるよう計画する必要があります。(直接試験では問われてはいませんが、大事な部分です。)

 

斜面地の計画については「平成29年度設計製図試験 斜面地に対する構造計画について」でも書いていますので、参考までに…

 

今年の試験では、もしかしたら例年と同じかもしれませんが、例えば、「多雪地域」に指定されている敷地では「積雪荷重」を考慮した設計を行う必要があります。(長期及び地震時、風圧時の荷重において、積雪荷重を見込む必要があります。)

 

また、後半部分の「経済性に配慮して計画する」というのは、当然、構造耐力上の安全性は確保しないといけないけど、過剰な断面にすると経済性が悪いでしょってことです。

何をあたりまえなことをと思いますが…

例えば、

・建物規模やスパンを考慮すると700x700の柱断面で構造耐力上はOKなのに、1000x1000で計画した場合

・「良好な地盤」という条件なのに、杭基礎をわざわざ計画した場合

極端な例ですが、こういう場合って経済性に配慮しているとは言えないと思います。

ただ、これも一概にここから先は経済性に配慮していないっていう線引きが難しいので、難しく考えなくてもいいとは思います。

 

・構造種別に応じた架構形式及びスパン割りを適切に計画するとともに、適切な断面寸法の部材を計画する。

「構造種別に応じた架構形式及びスパン割りを適切に計画する」ことは、当たり前のように見えますが、もう一度確認した方がいいですよ。

 

製図試験においては、構造種別は「鉄筋コンクリート造」で計画することがほとんどですが、どうして「鉄筋コンクリート造」を採用するのか分かっているでしょうか。(別に鉄骨造でもOKですよ…)

 

「鉄筋コンクリート造」の特徴としては、剛性が高い、耐久性が高い、居住性が高い点が挙げられます。

今回の課題の「高齢者介護施設」においては、「居宅サービスを行う施設及び居住施設で構成する建築物」とはっきり記載されていることから、居宅サービスを行う居室や居住施設の居室の居住性や耐久性に対して配慮する必要はあると思います。そういった観点からも「鉄筋コンクリート造」は適していると考えられます。

 

また、「鉄筋コンクリート造」の場合の架構形式としては、

・ラーメン構造

・耐震壁付ラーメン構造

・壁式構造

が考えられます。

そのうち、「壁式構造」については、平屋の小規模な建物しか計画ができないことから、製図試験では考えません。

一般的には、「ラーメン構造」で計画することが多いですが、どうして「ラーメン構造」で計画するのかを確認してくださいね。(ここについては、一度自分で考えてみてください。今回はあえて書きません。)

 

「鉄筋コンクリート造」の適切なスパン割りについてもどのくらいのスパンが一番経済的かを意識して計画してください。

鉄骨造の場合では、10m超えのスパン割りをすることも普通にありますが、鉄筋コンクリート造では、何mくらいのスパン割が一番適切でしょうか。

また、ロングスパンで「プレストレストコンクリート梁」を計画しますが、どうして「プレストレストコンクリート梁」を計画するんでしょうか。どうして、「鉄筋コンクリート梁」ではだめなのでしょうか。

 

上記の事を意識しながら、「適切な断面寸法の部材を計画する」必要があります。

 

ざっと、思いついただけでこんな感じですが、今後もちょこちょこ書いていきます^^