世の中には、いろんな建物があります。住宅、学校、オフィスビル、図書館、市役所、渋谷ヒカリエのような複合施設…。こういった建物ってどのように構造計算をするのでしょうか。
一般的な住宅とヒカリエを同じ構造計算方法で行うでしょうか?当然住宅は規模が小さいので、簡易的な計算でもOKですし、ヒカリエのような大きく、高い建物はより複雑な構造計算が必要となります。
ここでは、そんな構造計算の方法(構造計算ルート)の概要について紹介します。
構造計算の計算方法の種類としては、大きく分けて下記の種類あります。
ルート1:許容応力度計算
ルート1は、比較的小規模な建築物の場合に用いられる計算方法です。許容応力度計算とは、長期荷重、風荷重、積雪荷重、地震荷重等の各荷重によって発生する応力が、部材の許容応力度以下であることを確認する計算方法です。
実際は、鉄骨造、RC造等の構造種別によって細かく計算ルートがあります。
ルート2:許容応力度等計算
ルート2は、ルート1で説明した「許容応力度計算」を行います。しかし、「等」が付いているように、それ以外にも建物の層間変形角や剛性率・偏心率の規定があります。ルート1で行っている計算以外に規定が追加されているというイメージです。
ルート3:保有水平耐力計算
ルート3(保有水平耐力計算)は、大地震時に対して建物が安全であることを計算によって確認します。ルート1で行っている地震荷重に対する許容応力度設計(一次設計)では、中規模地震(震度5弱~震度5強程度)に対して、柱、梁などの各部材が許容応力度以下であることを確認しています。しかし、大地震時(震度6弱~震度6強)においても、地震によって発生する応力に対してルート1と同じように部材が許容応力度以下となるよう設計するとどうでしょうか。大地震というのは、何十年、何百年に1度で発生するかどうかです。何十年、何百年に1度の大地震のために許容応力度設計とするのはどうなのだろう、とても不経済ではないかと考えられます。そのため、部材の降伏を許容した設計となっています。