~構造設計者こーじの構造解説blog~

一級建築士の構造解説・過去問解説を行っています。某組織設計事務所9年→構造設計事務所。10年目。

MENU

2020-01-01から1年間の記事一覧

2-3 積雪荷重

ここでは積雪荷重について解説していきます。積雪荷重は、一般の区域と雪が多く降る多雪区域があり、多雪区域の地域及び鉛直積雪量等については各特定行政庁の建築基準法施行細則で定められています。 また、近年の一般の区域における積雪による屋根崩落の被…

2-2 長期荷重 ~固定荷重と積載荷重~

荷重の種類のうち、ここでは「長期荷重」について解説していきます。固定荷重と積載荷重がありますが、特に、積載荷重の3つの数値(床・小梁用、架構用、地震用)の違いを理解することが大事なポイントとなります。 2-2-1 長期荷重について 2-1-2でも解説し…

一級建築士製図試験 記述 ~鉄筋コンクリート造の耐震計算ルートについて~

令和2年度 一級建築士製図試験「高齢者介護施設」の要点の記述において、「耐震計算ルート」についての設問がありました。 建築物の構造計画について、建築物の特性に応じて採用した構造種別・耐震計算ルートとそれらを採用するに当たり、耐震性を確保するた…

一級建築士製図試験 記述 ~構造計画における目標耐震性能について~

平成26年の「温浴施設のある道の駅」の沖縄試験及び平成27年の「市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅」において、要点の記述の構造計画において出題された「目標耐震性能」について、これから解説していきます。 というのも、そろそろ出てもおか…

1-2 静定構造の反力計算と応力計算 1-2-4 片持ち梁の支点反力計算

次に片持ち梁の支点反力計算を解説していきます。図1-2-9に示すように、A点を固定端とした片持ち梁に等分布荷重ωが作用した時の支点反力を求めていきます。 ① 支点反力の設定 単純梁の時と同様に、まずは支点反力の設定を行います。図1-2-10に示すようにA点…

1-2 静定構造の反力計算と応力計算 1-2-3 単純梁の支点反力計算

ここからは実際に支点の反力計算を行っていきます。まずは、単純梁の支点反力計算について解説していきます。図1-2-3に示すようにA点がピン支持、B点がローラー支持、長さLの梁にA点から2L/3の位置に集中荷重Pが作用した時の支点反力計算を求めていきます。 …

1-2 静定構造の反力計算と応力計算 1-2-1 単純梁と片持ち梁、1-2-2 荷重の種類について

1-1では、「静定力学の基礎」について解説していきました。試験問題では、荷重や部材・支点条件については与えられていますが、実務においては構造計算をする上で最初に荷重や部材・支点について単純な形へ「モデル化」を行います。ここからは、実際に計算を…

1-1 静定力学の基礎 1-1-3 構造物のモデル化

(1)架構形式 建物には、様々な架構形式が用いられていますが、一般的にラーメン構造とトラス構造が多く用いられています。構造力学を学ぶ上でもこの2種類の架構形式は基本となる架構形式です。といっても、力学の基本は先ほど説明した「力の釣り合い」なの…

1-1 静定力学の基礎 1-1-2 力の合成と分解

同じ点に2つの違う向きや大きさの力が作用した場合、この2つの力を足し合わせることができますが、単純に足し合わせることはできません。(数学的な用語でいうと、力はベクトルで表されるためです。)2つの力を足し合わせたり(力の合成)、逆に1つの力を2…

1-1 静定力学の基礎 1-1-1 力の釣り合い

構造力学を学ぶ上での基本となる「静定力学」について解説していきます。「静定力学」では、力の釣り合い式で支点の反力や部材の応力を求めることができることができます。まずは、力学を計算する上で必要な知識となる「力の釣り合い」「支点のモデル化」に…

仮想仕事法について(1)エネルギー保存則について

以前、モールの定理について解説していきましたが、モールの定理のよる求め方はあくまで梁などの直線部材の変位を求める際に用いる解法です。ただし、ラーメン構造などの柱と梁で構成された架構に対しては、材軸方向が異なるためモールの定理では求めること…

令和2年一級建築士製図試験について ~構造的観点 その2~ 架構形式とスパン割り

り前回の「令和2年一級建築士製図試験「高齢者介護施設」について ~構造的観点~」にて、製図試験の構造的観点についてざっくりお話しさせて頂きました。 今回は、前回のお話の中であえて書かなかった、「鉄筋コンクリート造」の場合の ・架構形式 ・スパン…

1-3 断面の応力と変形 1-3-3 曲げ応力と変形

前回、前々回と軸方向応力やせん断応力と変形の関係について解説していきました。 「1-3 断面の応力と変形 1-3-2 軸方向応力と変形 ~弾性と塑性~」 「1-3 断面の応力と変形 1-3-3 せん断応力と変形」 軸力、せん断力と続いて、今回は、曲げ応力による断面…

1-3 断面の応力と変形 1-3-3 せん断応力と変形

前回は、軸方向応力と変形や応力度-ひずみ関係について解説していきました。 (⇒軸方向応力と変形や応力度-ひずみ関係の解説「1-3 断面の応力と変形 1-3-2 軸方向応力と変形 ~弾性と塑性~」はこちら!!) 今回はせん断応力について解説していきます。 …

1-3 断面の応力と変形 1-3-2 軸方向応力と変形 ~弾性と塑性~

ここでは、力が作用している部材の断面上に生じる応力度(=単位面積当たりの応力)について解説していきます。 軸方向応力 下図に示すように棒がで引っ張られると、棒の断面には引張力(軸方向力)が発生します。この場合、この軸方向力は棒の断面に垂直方…

一級製図試験での基礎形式ってべた基礎?布基礎?独立基礎?…検証してみました!

今回は、一級建築士の製図試験で気になることのひとつ 「基礎形式ってどうすればいいの?…べた基礎?布基礎?独立基礎?」 ってことで、簡単に検証してみます。 建物規模は令和元年度試験の「美術館」で設定された地上3階で考えます。 ・荷重設定 実際はちゃ…

基礎構造の違い 直接基礎と杭基礎

基礎構造とは、その名の通り、上部建物を支持するための構造です。上部構造から伝達される力が基礎構造へ伝わり、最終的に地盤まで伝達されます。つまり、「固い地盤で建物を支持する」必要があります。 建物を支持する形式としては、大きく「直接基礎」と「…

令和2年一級建築士製図試験「高齢者介護施設」について ~構造的観点~

令和2年7月22日に令和2年一級建築士試験「設計製図の試験」の課題発表がありましたね! 「高齢者介護施設」 ざっくりした課題テーマだな~という印象ですが、 どんな用途であっても根本的なことは一緒なので、 製図試験を受ける方々、これから大変ですが頑張…

2020年度の学科試験を終えて ~教える側となって感じたこと~

2020年7月12日の一級建築士学科試験を受験した皆様、お疲れ様です! 結果が出た方、出なかった方色々だと思いますが、 この一年間頑張ってきたことは無駄ではないので、 この経験は次のステップに生きると思います。 さて、2020年度の学科試験において、 今…

コンクリート強度について(設計基準強度Fc、耐久設計基準強度Fd、調合管理強度Fmの違い…)

コンクリート強度といっても色々種類があると思いますが、もう一度整理してみましょう^^ 設計基準強度Fc 構造計算を行う上での基準となるコンクリート強度です。例えば、コンクリートの許容応力度についても設計基準強度Fcを基準に基づいて決められています…

【モールの定理(集中荷重編)】たわみの公式を忘れても求められる!

たわみの公式が覚えられない人向けに、モールの定理によるたわみの公式の導き方を解説していきます。 私個人的には語呂合わせとかで覚えるのが苦手だったので、試験で忘れたときにこの方法でたわみの公式を求めていましたが、覚えられる人は語呂合わせで覚え…

一級建築士試験 構造Ⅳ【令和元年度(2019年度)No.7~No.8】【荷重・外力】

荷重・外力についてです。今回は、あまり難しい問題ではなかったかもしれません。 風荷重について分からない点があれば下記のブログも参考にしてください^^ ・ 風荷重 ~風荷重は2種類あるんだよ~ ・「平均風速の高さ方向を表す係数Er 、ガスト影響係数G」…

一級建築士試験 構造Ⅳ【令和元年度(2019年度)No.1~No.6】【力学】

今回は、力学について解説していきます。 自分なりに手書きでそれぞれの問題を解いてみました。その上で、考え方について解説していきます。 〔No.1〕 <解説> M≦Myの場合と、M=Mpの場合の断面の応力度を考えます。 まず、M≦Myの場合では、断面の縁応力度…

一級建築士試験 構造Ⅳ【令和元年度(2019年度)No.19~No.21】【地盤・基礎】

続いては、地盤・基礎についてです。 これらは、普段なかなか直接見ることもできないので、私自身もイメージしにくいです。が、なんとか解説してみました^^ 〔No.19〕土質及び地盤に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。 1 .液状化の判定を…

一級建築士試験 構造Ⅳ【令和元年度(2019年度)No.15~No.18】【鉄骨造】

続いては、鉄骨造となります。 鉄骨造で一番大事なのは「座屈」現象をいかにイメージできるかです。大体の規定は座屈に関連する規定(細長比、幅厚比、部材ランク、横補剛、許容曲げ応力度fbの低減 等)です。 〔No.15〕鉄骨構造の設計に関する次の記述の…

一級建築士試験 構造Ⅳ【令和元年度(2019年度)No.11~No.14】【鉄筋コンクリート造】

ここでは、鉄筋コンクリート造の過去問について解説していきます!! 鉄筋コンクリート造の特徴は、コンクリートを使用することで剛性が高く耐震性、耐久性、遮音性に優れています。その一方でコンクリートの弱点である引張力が小さいことから、それを補うた…

地震荷重 その① ~地震力は運動方程式と同じ~

<地震荷重の前に…「F=ma」について> まず、地震荷重の説明をする前に基本的な事として、 力=質量×加速度 ということを頭に入れておいて欲しいです。 ※これはニュートンの運動法則の第二法則である「運動の法則(運動方程式)」の F=ma からきています。…

風力係数Cf

風力係数Cfについては、正直言うとあまり深入りすると混乱していくと思うので、考え方だけイメージできればいいと思います。 <風力係数Cfとは?> ここでは、まず構造骨組用風圧力の算定の際の風力係数Cfについて説明しますが、ピーク風力係数Cfについても…

基準風速Vo ~台風が良く来る地域はやっぱり大きいよね~

ここでは、基準風速Voについて解説していこうと思います。 <基準風速Voの決まり方> 基準風速Voとは、告示で定められており、30~46m/sの間で定められている数値です。Voは、稀に発生する中程度の暴風時を想定した10分間の平均風速となっています。 +α:稀…

「平均風速の高さ方向を表す係数Er 、ガスト影響係数Gf」と「地表面粗度区分」の関係って?

長ったらっしいタイトルですいません… 風荷重で一番よくわからない係数たちについて、解説していきます!! 地表面粗度区分とは? 地表面粗度区分とは、地表面の粗さの程度について区分したものです。 ここでいう「粗さ」とは、計画建物の周辺が建物が多く存…