ここでは、溶接の長所と短所について簡単に解説していきます。
溶接の長所
溶接の長所は、構造が単純化できるということです。
図のようにボルト接合と溶接接合の各継手の図を比較すると、ボルト接合の場合は部材同士を接合する為の板が必要となると共にボルト接合する為の孔空け加工が必要となります。一方、溶接接合では、部材同士を溶接で接合するだけなので簡単になります。
また、船やタンクなど水密性や気密性が求められる場合では、ボルト接合では浸水や漏水してしまいますが、溶接ではその心配もありません。
溶接の短所
ただ、溶接の短所もいくつかありますが、その一つとして溶接による変形(残留変形)が挙げられます。溶接は、溶接金属を高温(約1500℃)で溶かして部材同士をくっつけますが、溶けた鋼材が冷えて固まろうとする時に収縮しようとします。その収縮によって周囲の鋼材が引っ張られて部材が変形してしまいます。
また、端部が固定されていると変形しようとしてもできないため、溶接部において割れが発生(高温割れ)してしまいます。
また、溶接の品質は、溶接従事者の技術や溶接の際に適切に管理がされているかどうかで大きく左右されます。部材同士を溶接で接合する場合、溶接接合部が弱点となりやすいです。溶接従事者の技術不足や不十分な管理により溶接部に欠陥ができてしまうと、設計で想定した力より小さい力で溶接部分が破断してしまいます。
溶接接合の方が、ボルト接合よりも加工等の手間が少ないため簡単ですが、溶接部の品質がとても大事になることが分かります。