~構造設計者こーじの構造解説blog~

一級建築士の構造解説・過去問解説を行っています。某組織設計事務所9年→構造設計事務所。10年目。

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1-2 静定構造の反力計算と応力計算 1-2-4 片持ち梁の支点反力計算

次に片持ち梁の支点反力計算を解説していきます。図1-2-9に示すように、A点を固定端とした片持ち梁に等分布荷重ωが作用した時の支点反力を求めていきます。

 

 
 ① 支点反力の設定
 

 単純梁の時と同様に、まずは支点反力の設定を行います。図1-2-10に示すようにA点の鉛直方向支点反力をVA、水平方向支点反力をHA、モーメント反力をMAとします。固定端なので、モーメント反力もありますので忘れないようにしてくださいね。
支点反力の荷重の向きは、先ほどと同じように正の向きで設定します。

 

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図1-2-9 片持ち梁の支点反力計算

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図1-2-10 支点反力の設定(図1-2-9)
 
 ② X方向(水平方向)力の釣り合い
 

 まずは、X方向(水平方向)について解いていきます。X方向については、HA以外に水平方向の力は無いので、HAの反力は0となります。

  ∑X=HA=0  (式1.3.10)
  ∴HA=0   (式1.3.11)


 
 ③ Y方向(鉛直方向)力の釣り合い
 

 次に、Y方向(鉛直方向)について解いていきます。鉛直方向の力としては、等分布荷重ωと支点反力VAがあります。

分布荷重が作用している場合、まず分布荷重の合力を求めます。分布荷重の合力は、荷重の大きさを図形としてみたときの面積となります。今回の問題の等分布荷重ωは、単位長さ当たりの荷重なので「等分布荷重ωに等分布荷重が作用している長さLを掛けた合力ωL」が、重心位置に作用していると考えます。

  ∑Y= VA-ωL=0  (式1.3.12)
  ∴VA=ωL    (式1.3.13)

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図1-2-11 等分布荷重の合力と鉛直方向の釣り合い(図1-2-9)
 
 ④ モーメントの釣り合い
 

 A点にはモーメント反力が発生することから、モーメントによる釣り合いを考える必要があります。A点によるモーメントの釣り合いについて考えれば、HA及びVAについては距離0となることから、MAと等分布荷重の合力ωLによるモーメントの釣り合い式をたてることができます。

  ∑M=MA+ωL×L/2=0       (式1.3.14)
  ∴MA=-(ωL^2)/2(反時計回り)  (式1.3.15)

 MAは時計回りとして設定していましたが、計算結果で負の値となりましたので、反時計回りでωL2/2のモーメントが正解となります。
 以上の計算結果より、支点反力は図1-2-13の通りとなります。

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図1-2-13 等分布荷重の合力