~とある若手構造設計者の徒然blog~

とある組織設計事務所に勤めています。7年目。日々勉強、日々精進ですが、これまで色々感じたこと学んだことなどを書いていきます。

5-1 鉄筋コンクリート造の特徴

鉄筋コンクリート造とは、コンクリートと鉄筋を組み合わせた、現代の建築物において主要な構造種別のひとつです。コンクリートは引張強度が小さい為、主筋や補強筋といった鉄筋で補強します。また、コンクリートの引張耐力が非常に小さいことから、引張力に対しては鉄筋が負担する構造となっています。まずは、鉄筋コンクリート造の特徴について解説していきます。

 

鉄筋コンクリート造は、建築基準法においても指定建築材料であり、主要な建築材料のひとつですが、主に下記のような特徴があります。

 

 
 <長所>
 
 
  • 居住性が高い

コンクリートは、鉄や木材に比べて強度が弱いものの、材料としては安価であることから、柱や梁の部材断面を大きくすることによって、人の歩行や地震等の外力が作用した場合においても、変形しにくい(剛性が高い)建物とすることができます。また、床や壁も厚い断面とすることができることから、高い遮音性を得ることができます。そのため、共同住宅や病院、研究所等、静寂を必要とする建物は鉄筋コンクリート造とすることが多いです。また、鉄骨造の建物であっても剛性や遮音性を高めるために床は鉄筋コンクリートとすることが多いです。

 

  • 耐火性が高い

木は燃えやすく、鉄は火災時の熱によって強度が低下してしまう為、主要な柱や梁を耐火被覆する必要があります。鉄筋コンクリート造では耐火被覆は不要であることから、住宅火災のニュースで見られるように、火災で建物が倒壊することはありません。

 

  • 耐久性が高い

木は腐りやすく、鉄は錆びやすいことから防錆塗装などの処理が必要となり維持管理が大変ですが、鉄筋コンクリート造の場合では、打ち放し仕上げであっても50年程度の寿命はあります。

 

 
 <短所>
 
 
  • ひび割れが入りやすい

最初に述べたように、コンクリートは引張強度が小さく伸び能力も小さい(脆性的な破壊)ことから、躯体にひび割れが発生しやすいです。また、コンクリートが硬化する際の乾燥収縮ひび割れも発生する恐れもあります。

※乾燥収縮ひび割れ:コンクリートは水とセメントの水和反応により硬化しますが、その際、水和反応による水和熱が発生することでコンクリートの温度が上昇して体積が膨張します。その後、コンクリートが乾燥して外気温程度まで温度が低下することで、コンクリートが収縮することで引張力が発生し、引張強度に達するとひび割れが発生します。

 

  • 建物重量が大きくなりやすい

コンクリートの比重は23kN/㎥であり、鉄の比重78kN/㎥と比べると比重が小さいですが、柱や梁の断面が大きいことから、建物重量が大きくなりやすくなります。そのため、軟弱地盤上に建物を計画する際には、大掛かりな杭基礎とする必要があります。

 

  • 施工期間が長い

柱や梁等の躯体を打設する際の型枠製作や、打設後のコンクリート硬化に時間が掛かることから、木造や鉄骨造と比べると施工期間が長くなりやすくなります。このため、型枠や鉄筋工事のプレハブ化やプレキャストコンクリート化を行う場合もあります。

 

  • 解体が困難

コンクリートの建築物は一体性が高いため、一度建物を建てた後は取り壊しが大変となります。最近では、解体後のコンクリート殻等の再利用についても研究が行われています。

 

 
 <せっかくなので・・・コンクリートの歴史について>
 


現代の建築物の主要な建築材料のひとつであるコンクリートですが、古くは古代ローマ時代に工業材料として普及していました。現在のようなポルトランドセメントは、19世紀に入ってから発明され1824年にイギリスのアスブディンによって発明されています。

鉄筋とコンクリートを組み合わせた鉄筋コンクリート造も1867年にフランスの植木職人のモニエが丈夫な植木鉢を作る際にコンクリートの引張に弱い性質を補おうとしたのが起源といわれています。その後、19世紀後半よりドイツ、フランス、アメリカ等でセメントの製造技術が土木や建築分野へ用いられるようになっていきました。

日本には明治時代になってセメント製造技術が導入されましたが、当初は土木や軍事用として利用されていました。建築物としては、1905年に「佐世保重工ポンプ小屋」が最初に建設されています。