~とある若手構造設計者の徒然blog~

とある組織設計事務所に勤めています。9年目。日々勉強、日々精進ですが、これまで色々感じたこと学んだことなどを書いていきます。

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一級建築士試験 構造Ⅳ【平成26年(2014年)No.11~No.14】【鉄筋コンクリート造】

〔N o.11〕鉄筋コンクリート構造の部材の強度に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.柱の終局せん断耐力を増すために、コンクリートの圧縮強度を大きくした。

2.大梁の終局曲げ耐力を増すために、コンクリートの圧縮強度を大きくした。

3.耐力壁の終局せん断耐力を増すために、コンクリートの圧縮強度を大きくした。

4.柱梁接合部の終局せん断耐力を増すために、コンクリートの圧縮強度を大きくした。

 

1.柱の終局せん断耐力を増すために、コンクリートの圧縮強度を大きくした。

<解説>

答は

柱の終局せん断耐力を高める方法は、

 ① 柱の断面を大きくする

 ② せん断補強筋(HOOP筋)を多く入れる(上限あり)

 ③ コンクリート強度を大きくする

の3つです。

 

2.大梁の終局曲げ耐力を増すために、コンクリートの圧縮強度を大きくした。

<解説>

答は×

大梁の曲げ耐力は、Mu=0.9×at×ft×d で求めることができます。この式より、曲げ耐力を大きくするには、下記の3つの方法があることが分かります。

 ① 梁せいを大きくする

 ② 主筋の強度を大きくする

 ③ 主筋の本数を増やす(主筋の断面積を大きくする)

そのため、コンクリート圧縮強度を大きくしても、終局曲げ耐力は大きくすることはできないため、間違いとなります。

 


3.耐力壁の終局せん断耐力を増すために、コンクリートの圧縮強度を大きくした。

<解説>

答は

耐力壁の終局せん断耐力を高める方法は、

 ① 壁厚を厚くする

 ② 壁の横筋を多く入れる(上限あり)

 ③ コンクリート強度を大きくする

の3つです。

 

4.柱梁接合部の終局せん断耐力を増すために、コンクリートの圧縮強度を大きくした。

<解説>

答は

柱梁接合部の終局せん断耐力を高める方法は、

 ① 接合部の立方体の体積を大きくする(=柱断面、梁断面を大きくする)

 ② コンクリート強度を大きくする

の2つです。

※柱梁接合部は、鉄筋(接合部内のHOOP筋)を入れても耐力を増すことはできない点が注意です!

 


 

〔N o.12〕鉄筋コンクリート構造の脆ぜい性破壊の防止に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.柱の付着割裂破壊を防止するために、柱の引張鉄筋比を大きくした。

2.柱のせん断圧縮破壊を防止するために、コンクリートの圧縮強度に対する柱の軸方向応力度の比を小さくした。

3.柱のせん断破壊を防止するために、柱せいに対する柱の内法高さの比を大きくし、短柱とならないようにした。

4.曲げ降伏する大梁の靱(じん)性を高めるために、コンクリートの圧縮強度に対する大梁のせん断応力度の比を小さくした。

 

1.柱の付着割裂破壊を防止するために、柱の引張鉄筋比を大きくした。

<解説>

答は✕

付着割裂破壊とは、異形鉄筋に引張力が作用した時に、異形鉄筋の節が周囲のコンクリートを押し広げようとすることにより、部材表面にひび割れが生じる破壊形式です。

引張鉄筋比を大きくすると、引張側の鉄筋断面積が多くなる(鉄筋本数が多くなる、鉄筋径が太くなる)ため、より大きな引張力を負担できるようになってしまいます。

そのため、付着割裂破壊を起こしやすくなってしまいます。付着割裂破壊を防ぐためには、引張鉄筋比を小さくするのが有効な手段となります。

 

2.柱のせん断圧縮破壊を防止するために、コンクリートの圧縮強度に対する柱の軸方向応力度の比を小さくした。

答は

せん断破壊は、脆性的な破壊であるため避けなければならない破壊形式です。

柱の「せん断圧縮破壊」は、せん断破壊の種類の一つであり、せん断力と軸力(圧縮力)が同時に作用した時に起こる破壊形式です。

そのため、「コンクリートの圧縮強度に対する柱の軸方向応力度の比(=軸力/強度)」が小さければ、柱部材がより余力のある状態であるといえます。柱部材の余力が大きければ、よりせん断圧縮破壊は起きにくくなります

よって、コンクリートの圧縮強度に対する柱の軸方向応力度の比を小さくすることは、せん断圧縮破壊を防止に有効であると判断できます。

 

 

3.柱のせん断破壊を防止するために、柱せいに対する柱の内法高さの比を大きくし、短柱とならないようにした。

<解説>

答は

せん断破壊を防止するためには、柱は短柱とならないことが重要です。

柱のせい dに対する柱の内法高さ Hの比(=H/d)が小さいとずんぐりむっくりな柱となります。このような柱の場合、せん断破壊が生じやすくなります。

 

4.曲げ降伏する大梁の靱(じん)性を高めるために、コンクリートの圧縮強度に対する大梁のせん断応力度の比を小さくした。

<解説>

答は

鉄筋コンクリート部材は、脆性的なせん断破壊は避け、靭性能力の高い曲げ破壊となるように設計します。

大梁が曲げ降伏した後も、力が作用し続ければ、その際終局モーメントに達するまでの間でせん断破壊をしてしまうと、脆性的な破壊となってしまうので、避けなければいけません。そのために、せん断力に対するせん断耐力の余裕度(=せん断余裕度)大きくします。(せん断破壊しないように、せん断耐力に余力を持たせておくことです。)

 


 

〔N o.13〕鉄筋コンクリート構造の構造計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.柱の許容曲げモーメントの算出において、圧縮側及び引張側の鉄筋並びに圧縮側のコンクリートは考慮し、引張側のコンクリートについては無視して計算を行った。

2.開口を有する耐力壁の許容応力度計算において、開口による剛性及び耐力の低減を考慮して構造計算を行った。

3.梁の許容曲げモーメントは、「圧縮縁がコンクリートの許容圧縮応力度に達したとき」及び「引張鉄筋が許容引張応力度に達したとき」に対して算定した曲げモーメントのうち、大きいほうの値とした。

4.平面形状が細長い建築物において、短辺方向の両妻面のみに耐力壁が配置されていたので、剛床仮定に基づいた解析に加えて、床の変形を考慮した解析も行った。

 

1.柱の許容曲げモーメントの算出において、圧縮側及び引張側の鉄筋並びに圧縮側のコンクリートは考慮し、引張側のコンクリートについては無視して計算を行った。

<解説>

答は

コンクリートの引張強度は、圧縮強度の1/10程度ととても小さいです。そのため、鉄筋コンクリート造の部材において、コンクリートは引張力を負担しないものとして考えます。

よって、鉄筋コンクリート造部材に曲げモーメントが作用する場合、引張側は鉄筋(主筋)のみ負担するものとして考えます。また、圧縮側はコンクリート+鉄筋で負担します。

 

2.開口を有する耐力壁の許容応力度計算において、開口による剛性及び耐力の低減を考慮して構造計算を行った。

<解説>

答は

耐震壁に開口がある場合、耐震壁の剛性、耐力が低下します。

耐震壁の剛性の低減(剛性低下率)や耐力の低減は、開口周比や壁の長さに対する開口長さの割合、壁の高さに対する開口高さの割合によって求めることができます。

 

3.梁の許容曲げモーメントは、「圧縮縁がコンクリートの許容圧縮応力度に達したとき」及び「引張鉄筋が許容引張応力度に達したとき」に対して算定した曲げモーメントのうち、大きいほうの値とした。

<解説>

答は

⇒部材に曲げモーメントが作用すると、断面内に圧縮応力と引張応力が発生します。

圧縮側応力に対してはコンクリート+鉄筋で負担し、引張側応力は鉄筋のみで負担します。

梁の許容曲げモーメントは、圧縮側と引張側のどちらか片方が許容応力度に達した時です。

そのため、「圧縮縁がコンクリートの許容圧縮応力度に達した時」と「引張鉄筋が許容引張応力度に達したとき」の小さい方が許容曲げモーメントとなります。

 

4.平面形状が細長い建築物において、短辺方向の両妻面のみに耐力壁が配置されていたので、剛床仮定に基づいた解析に加えて、床の変形を考慮した解析も行った。

<解説>

答は

耐力壁は剛性がとても高いので、地震力などの水平力に対して大きな力を負担します。その際に、建物中央部に作用する水平力は、床面に面内せん断力として伝達され、妻面の耐力壁へとせん断力として力が流れていきます。

ただし、平面形状が細長い建築物で短編方向の両妻面に耐震壁が配置されている場合、

両妻面よりも中央部の方が変形が大きくなることが想定されるため、剛床仮定に基づいた解析に加えて、床の変形を考慮した解析も行う必要があります。

剛床仮定については、こちらのブログが参考になります!

www.young-structure.com

 

 


 

〔N o.14〕鉄筋コンクリート構造の配筋に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.大梁の主筋の重ね継手について、応力集中を避けるために図-1のように継手位置をずらして配筋した。

2.柱梁接合部内の応力伝達を考慮し、図-2のように大梁の下端筋を上向きに折り曲げて定着させた。

3.両側にスラブの付いた大梁のあばら筋を、図-3のようなキャップタイ形式とした。

4.最上階の外端部における大梁の上端筋について、図-4のようにL2を定着長さとした。

    

 

1.大梁の主筋の重ね継手について、応力集中を避けるために図-1のように継手位置をずらして配筋した。

<解説>

答は

大梁の重ね継手の位置は、応力の集中を避けるために継手位置をずらします。継手というのは弱点ですので、弱点となる部分は分散させましょうという考え方になります。

 

2.柱梁接合部内の応力伝達を考慮し、図-2のように大梁の下端筋を上向きに折り曲げて定着させた。

<解説>

答は

大梁の主筋の柱梁接合部内への定着は、基本的に接合部内へ定着させます。そのため、下端筋は上向きに折り曲げて定着させます。

 

3.両側にスラブの付いた大梁のあばら筋を、図-3のようなキャップタイ形式とした。

<解説>

答は

図ー3のような配筋方法としても、両側にがることでスラブによる押さえ効果があることから問題ありません。

 

4.最上階の外端部における大梁の上端筋について、図-4のように􏉊􌚽を定着長さとした。

<解説>

答は

最上階の外端部における大梁の上端筋の定着は、折れ曲がった先からL2定着させる必要があります。