~構造設計者こーじの構造解説blog~

一級建築士の構造解説・過去問解説を行っています。某組織設計事務所9年→構造設計事務所。10年目。

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一級建築士試験 構造Ⅳ【令和元年度(2019年度)No.1~No.6】【力学】

今回は、力学について解説していきます。

自分なりに手書きでそれぞれの問題を解いてみました。その上で、考え方について解説していきます。

〔No.1〕

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<解説>

M≦Myの場合と、M=Mpの場合の断面の応力度を考えます。

まず、M≦Myの場合では、断面の縁応力度が降伏応力度に達するまでの状態(弾性)となります。この場合、図心位置=中立軸位置となります。

図のように、T型断面を2つの断面として分けて考えてそれぞれの図心位置を求めます。

 

また、M=Mpの場合(全塑性モーメント)では、圧縮側と引張側が全て降伏応力度σyとなる状態となります。応力として釣り合う状態とならないといけないので、

N=σy×An(An=圧縮側断面積)

T=σy×At(At=引張側断面積)

とすると、T=Nであることから、

σy×An=σy×At ⇒ An=Atとなる位置が中立軸位置となります。

 

〔No.2〕

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<解説>

ここでのポイントは、「接触面の摩擦が無い」⇒分割された断面はそれぞれの部材に力が作用するということです。

梁B及び梁Cは、分割した2つの各断面は同じ断面形状なので、1/2Pが作用します。その力が作用した場合に、分割した片方の部材のたわみを求めます。

(分割した片方の部材の断面2次モーメントを求めます。)

 

〔No.3〕

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<解説>

モーメント図を求める問題の解き方は、「変形をイメージ」することで、「曲げモーメント図」を描くことができます。

A点に10Pの力が作用する場合、B点にM=10PLの曲げモーメントが発生します。

この「M=10PL」の曲げモーメントが、右の部材と下の部材に分担されます。この分担の割合は、曲げ剛性による分担割合となります。

今回の場合では、曲げ剛性が2EIと3EIなので、

右の部材には、10PL ×(2EI/(2EI+3EI))=4PL

下の部材には、10PL ×(3EI/(2EI+3EI))=6PL

にそれぞれ曲げモーメントが分配されます。

また、端部は剛接合ですので、端部に発生する曲げモーメントは、

B点に発生する曲げモーメントとは反対側向きに1/2の大きさとなります。

 

〔No.4〕

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<解説>

各階の層間変位δと層せん断力Q、剛性Kの関係は、

δ=Q/K

となります。

各階の層せん断力は、

Q2=2P Q1=2P+P=3P

となります。よって、各階の層間変位は、

δ2=Q2/K2=2P/K

δ1=Q1/K1=3P/2K

となります。

 

〔No.5〕

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<解説>

トラス構造の問題は、

①支点の反力を求める。

②-1 節点法:支点位置の節点の力の釣り合いから、トラス部材の軸力を求める。次に、その隣の節点の力の釣り合いから…というように求めたい部材の軸力まで計算していく。

②-2 切断法:応力を求めようとする部材のある箇所でトラスを仮に切断して、力の釣り合いより求めたい部材の軸力を算出していきます。

今回は、②-1 節点法で計算をしています。(だって、節点法の方が、各トラスの軸力の変化が分かって面白いので…)

 

〔No.6〕

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<解説>

静定構造の問題は、

m=(n+s+r)-2k

 n:支点反力の数(鉛直、水平、曲げ)

 s:部材数

 r:剛接節点数

 k:節点数

の判別式により、算定してmの数値によって下記の通り判定します。

m>0:不静定構造(支点反力を1つ取り除いて(剛接合→ピン接合に変えて)も不安定にならない構造)

m=0:静定構造物(支点反力を1つ取り除く(剛接合→ピン接合に変える)と不安定になる構造)

m<0:不安定構造(力を加えると移動したり崩れてしまう構造)

計算をしています。(だって、節点法の方が、各トラスの軸力の変化が分かって面白いので…)