ここでは、鉄筋コンクリート造の各部材に用いられる各鉄筋の役割について解説していきます。
1 柱、梁部材の各鉄筋の役割
鉄筋コンクリート造の各部材は、主筋やせん断補強筋といった鉄筋で補強されています。
主筋は、曲げモーメントによる引張力に対して抵抗する鉄筋です。コンクリートは、引張強度が非常に小さいため、図のような主筋が入っていない無筋の梁では、中央下端から曲げひび割れが生じるとともに耐力が無くなり危険です。一方、主筋が配筋されていると、ひび割れが生じた後も主筋が引張力を負担してくれます。また、ひび割れも1か所に集中せず分散して発生するようになります。加えて、主筋は引張力に対して靭性能力が高いことから、曲げ降伏後も一定の荷重を支え続けることができます。
せん断補強筋は、せん断力に対して抵抗する鉄筋です。せん断補強筋の呼び名として、柱のせん断補強筋は帯筋(フープ(Hoop)筋)と呼ばれ、梁のせん断補強筋はあばら筋(スターラップ(Stirrup)筋)と呼ばれています。
せん断補強筋の役割は、名前の通り、せん断破壊を防止することです。部材がせん断力を受けるとせん断ひび割れが発生しますが、ひび割れた分だけ横方向に膨張しようとします。しかし、せん断補強筋が配筋されていると、せん断補強筋に引張力が作用して、膨張を抑えることができます。
また、せん断補強筋は、主筋の座屈を防止する効果があります。せん断補強筋の形状は、主筋を取り囲むように四角形の形状となります。主筋は細長いので、圧縮力を受けると座屈を起こそうとしますが、せん断補強筋によって主筋を拘束してくれます。