建築構造を勉強する上でよく使われる言葉である「荷重」ですが、ここでもう一度意味について考えてみます。
一言でいうと、「荷重=力」です。例えば、木の枝を折ろうとするとき、一般的には「木の枝に力をかけている」と表現しますが、建築構造で表現する場合は「木の枝に荷重をかけている」となります。
普段、生活する上では「力」で大丈夫ですが、力学や建築構造では部材が外部から受ける力のことを「荷重」と呼んでいます。
「荷重」と一言で表現しても、多くの種類があります。まず大きい分類で分けると「長期荷重」と「短期荷重」 の2種類となります。それぞれの荷重を説明すると、
長期荷重:長期間(常時)作用する荷重(固定荷重、積載荷重 等)
→建物自体の重さ・床・天井仕上げ・間仕切り壁による荷重(固定荷重)や人間や机・椅子などの什器・設備機器等による荷重(積載荷重)
短期荷重:短期間(一時的に)作用する荷重(風荷重、地震荷重 等)
→地震による力、風、雪 等普段は発生せず一時的に作用する荷重
となります。短期荷重(特に地震荷重)に対して建物が壊れないように設計すると思われがちですが、長期荷重・短期荷重の各荷重に対して十分配慮して設計を行っていきます。例えば、長期荷重ではクリープ変形やひび割れにも注意して設計しています。
次項より、各荷重について解説していきますが、各荷重の概要について下記に示していきます。
建物自体の重さや床・天井仕上げ・間仕切り壁等の仕上げ材による荷重。
<積載荷重>
人間や机・椅子などの什器・設備機器等の物品による荷重。
<風荷重>
風による荷重。構造骨組用の風荷重と屋根吹き材等の風荷重の2種類の風荷重がある。
<積雪荷重>
積雪による荷重。一般地域と特定行政庁により指定された多雪地域に分類される。近年の積雪による屋根崩落等の被害があったことから、平成30年の告示改正により積雪荷重の割増しの場合あり。
<地震荷重>
地震による荷重。建築基準法では、中地震(稀に発生する地震)及び大地震(極めて稀に発生する地震)に対して、建物の設計を行う。