前回、前々回と軸方向応力やせん断応力と変形の関係について解説していきました。
「1-3 断面の応力と変形 1-3-2 軸方向応力と変形 ~弾性と塑性~」
軸力、せん断力と続いて、今回は、曲げ応力による断面応力と変形について解説していきます!!
下図のように、長方形断面の棒を曲げると、棒には曲げモーメントが生じます。曲げモーメントを受ける棒のA断面に生じる応力度は、下図のように引張応力度と圧縮応力度が生じます。また、引張応力度も圧縮応力度も生じない位置を「中立軸」といいます。引張応力度及び圧縮応力度の大きさは、中立軸から離れるに従って比例して大きくなり、断面の縁では最も大きくなります。
このような曲げ応力によって生じる応力度分布を曲げ応力度といいます。
また、曲げ応力度σは、下式の関係があります。
ここで、I:断面2次モーメント、y:中立軸から断面の上下縁までの距離となります。
※断面二次モーメントなどの諸係数については、今後ブログで解説します。また、断面係数Zとも関係があり、
の関係があります。なので、式を変形して、を代入すると、
の関係があります。(これは、一級建築士学科試験では、覚えないといけない式ですね^^)
長方形断面に曲げモーメントが作用した場合では、先ほど解説したように下記のような曲げ応力度が作用します。
中立軸から上側と下側にそれぞれ発生している応力度の総和(T及びN)は、力の方向が反対向きであるが同じ大きさとなります。断面の上端及び下端に生じる曲げ応力度をσmとすると、応力度の総和(T及びN)は、
となります。
このT及びNは偶力となります。この偶力によるモーメントの大きさは、曲げモーメントMと等しいです。偶力の距離は、
となります。よって、曲げモーメントと偶力によるモーメントの関係は、
と表せます。なので、これを代入すると下式の通りとなります。
※余談ですが、長方形断面の断面係数なので、より、先ほどのの関係がここで分かると思います。
ここで、下図のような中立軸からy離れた位置での応力度がσとすると、上端(中立軸からの距離h/2)に発生している応力度σmとの比を考えます。
より、
となります。ここで、 を とσm=の式展開して、上式に代入すると、
ここで、長方形断面の断面二次モーメントなので、
と導き出すことができます。